会話に困った時に使える!'架空の友人'の千字ストーリー

昔話、日々の変化、思い出話、友人からの噂話、そんなのをまとめておきます。この話はおもに友人から聞いた小話として合コンやアイスブレイク、気まずいあの子との2人きりの時間とかに使って下さい。

猫、墓、古墳。

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まえがき

こちらの作品は、まだブログ自体をどうやって書こうか悩んでる時に実験的に書いたものです。

僕の実際の体験談を小学生時代、中学生時代、高校生時代、社会人と4つの時間軸に分けて一つの作品のうちに書いています。

それぞれの時間軸を「墓」というキーワードで繋ぐとは全く趣味が悪いですね。

このスタンスの文章が主軸にならず良かったです。

 

 

『猫、墓、古墳』

 

夢。

 

鹿児島の青空、緑に広がる草原。

途中で途切れる断崖。その向こうに広がる濃淡な二色の海、真っ白な夏の入道雲が海に反射し霞んだ世界が反転し二つに並び合う。

痛い程の陽射しとその中に一つだけ滲むように佇む墓標の前に私は立っていた。

 

そう、これは夢ではないこれは記憶だ。

その墓標には大きな家紋が掘られている。

私はその家紋を焼き付けるように見ていた。

 

親戚一同縁がない私が再びその墓に行く事はその後一切無かった。

 

猫。

私は幼少の頃からスケートボードに乗るのが好きで、何かあればしょっちゅう、ひっきりなしにスケートボードに乗っていた。夕暮れの八月、高校の部活帰りの白いポロシャツでスケートボードに乗っていると。前の車が不自然に曲がりながら道を進んでいるのを見た。その後続も次々と曲がる。まるで何かを避けているかのようだった。

興味があり、スケボーを走らせるとそこには1匹の猫の死骸が転がっていた。

恐らく跳ねられ、何度も踏み潰されたのであろう。その骸は臓物を撒き散らしていた。

私はスケボーを止め、その猫の骸を拾い上げ抱き抱えるとまだ温もりがあった。

散らばった肉片を拾い上げ、飛び出しかかった目玉を戻し、まるでゴミを避けるように嫌々とハンドルを回すドライバー達を目で追っていた。

しばらくその場で猫を抱き抱えていたと思う。

 

私は不意にやり切れない気持ちになり、猫を近所の裏山に埋めた。

 

墓。

私の中学では罰として校庭を整備する習慣があった。もう、何で怒られたのか忘れてしまったが私は友人と2人で『トンボ』と呼ばれていたグランド整備の器具を使い砂を集めていた。

退屈な時間。どんなに整備をしても明日にはまた散らかってる校庭を想像するとやる気がなくなる。そこでふと無くならないものを作ろう!と友人と2人で校庭中の砂をかけ集め校庭の真ん中に教科書でしか見たことの無い巨大な前方後円墳を作成した。

「なんか出来た。」そう友人が呟いた。

「なんか出来たね」と私。

明日から新入生がクラスに入ってくると聞き。

校庭に大きな字でFuckと書いて走って帰った。何処か後ろで激昂した先生の声が聞こえた気がした。

 

猫。

大きな岩をスコップ代わりに穴を掘り、猫を収めるとまるで体を丸くして寝ているような姿になった。

お前はこれからずっと寝てられるからいいな

なんて考えながら砂を掛けていくとふと脳裏にカラスや他の犬猫の存在に気づいた。

いまどき野良犬はないと思うが掘り返されてこの猫の眠りを邪魔されるのも心苦しい。私は猫を埋めたあとに大きな岩をその上に乗せた。

これで掘り起こされることもない。その光景に私は墓の起源を見た気がした。

 

古墳。

古墳はなぜ鍵型なのか、ふと揺れる満員電車の中で調べてみた。これから仕事に向かうと言うのに、現実逃避だろうか。ふと気になり検索をしてみる。

古代より丸みを帯びた墓は多く存在し、その墓の上で死者を弔う「まつりごと」をしていたらしい、それならその儀式を行いやすいようにと丸い墓に方形の舞台が作られ前方後円墳が生まれたとの諸説を見た。

そうか、昔の人も死後を丁重に弔って欲しかったんだ。自分が生きていたという証を大々的に残したかったのかもしれない。思えば中学の時に無くならないものを作ろう!と躍起になっていたあの時間はも広義で言えばここに繋がるかもしれない。

しかし、それならあの猫の墓はどうだろう。ただ実用性に特化したあの墓は、猫は何かを残そうとしていた訳ではないが、あの岩を見る度に猫を思い出してしまう。

その時、私は私しか考えてない事に気がついた。

猫にしても、あの夢にまで見た墓標にしてもそこにあるのは遺骨のみで元来意思などないはず。

あるのは自己の投影のみ。

 

猫を埋葬した後、手を洗いカレーを食べながらあの猫の肉とこの牛の肉にはどんな違いがあるのか悩んでいた。しかし、本来変わりはないはずだ。変わるのはそれを見た人間の心情のみだ。

 

墓の役割が何か意志の投影を行う装置なのだとしたらあの墓はあの墓のでかでかとした家紋は一体何を私に伝えようとしていたのか無性に気になった。

もし、機会が訪れるのであれば、またあの墓に対面して何を感じるのか実感したい。

 

あとがき

いかがでしょうか。

決して病んでる訳では無いのであしからず(笑)

当時の僕はホラー小説にハマっており、こういった文章の書き方になったんだと思います。読んでいたのではなく、聴いていましたが。

ここに僕が大好きな朗読YouTuberさんのURLを載せておきますので皆さん良かったら遊びに行ってください。トプ画寄せてます笑


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