会話に困った時に使える!'架空の友人'の千字ストーリー

昔話、日々の変化、思い出話、友人からの噂話、そんなのをまとめておきます。この話はおもに友人から聞いた小話として合コンやアイスブレイク、気まずいあの子との2人きりの時間とかに使って下さい。

小学生の頃山で遭難した話(長編)

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どうも千字Lifeのとうやです。

皆さんは人生観が変わるほどめちゃくちゃ怖い体験ってしたことありますか?

 

僕はあります。

小学六年生の頃の日光林間学校での肝試しです。

 

◼よくある肝試し

肝試しの概要としてはホテルの近くの山の一本道をひたすら登り、中腹地点から折り返して歩いて来た道を降りるだけという簡単なコースでした。

 

山の中腹地点の公園にはがあり、月明かりしかない暗闇でしたがゴォォォと大きな音を立てていて、その影響か夏夜ではありましたがとても涼しかったです。

 

定番にはなると思いますが、まず初めにその公園で林間学校に同行してた看護師さんが職場での怖い話をいくつかした後、肝試しがスタートしました。

しかし、僕はこの看護師さんが最後にした不可解な発言を今でも覚えています。

 

「皆さんの肝試しのコースにはありませんが、もしも途中で十字路が出てきたら絶対に右折して下さい。間違っても真っ直ぐには行かないで下さい良くないものがいます

 

コースに関係ない話ならなんで言う必要があるんだろう?もしかしたらここが曰く付きの土地という設定にして皆を怖がらせようとしてるのかな?など勘繰りもしましたが、先生達も少なからず動揺している様子だったので、この違和感は僕の頭の中に強く残るものになりました。

 

◼ペアの彩ちゃん

肝試しのペアの彩ちゃんは当時僕が気になっていた女の子で、真っ直ぐな黒髪がとても綺麗な子でした。

彩ちゃんは少し天然な所があり、そこが面白いのですが。事態はこの天然から加速していきます。

 

肝試しが始まりし1組目のペアから徐々に歩き始め、僕達の名前が呼ばれました。山道は公園とは違い森の影にとざされた林道で、月明かりが一切無く真っ暗でした。あまりにも暗すぎる闇に少し躊躇しましたが僕達は前へ進み続けました。

 

◼装備

足元を照らすのは空き缶と木の棒で作られた手作りのランタンのみで中には小さなロウソクが心許なく風になびいています。恐らく長時間の使用を想定していないのでしょう。肝試し開始10分も経たないうちに灯りは消えてしまいました。

 

既に右も左も分からない暗闇でしたが、彩ちゃんの「こっちだよこっち」という声にひかれて、ひたすら僕は闇の中を歩き続けました。

足には木の根っこやヌルッとした岩の感覚、そして何よりも安心出来たのが前と後ろ両方で足音が聞こえることでした。

何故この時、前方のチームに声をかけなかったのか今でも疑問に思いますが寧ろかけて良かったのか?そう考えることもあります。

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◼ただひたすらの闇

おかしい、いつまで経っても誰にも合わない、もう1時間以上歩いている気がしてきましたが、一向に足音だけは前と後ろからまるで僕達を囲むように聞こえてくるのです。

その時でした、フッと視界が開け、林道の中央に月明かりが照らし始めました。

そこはなんと僕達があの看護師から聞いた十字路でした。

 

僕は直感的に「右に行こう」と判断し、彩ちゃんも同じ事を考えたのでしょう。急いで右折しました。

 

月明かりのせいもあってか前方の直進の林道が余計に暗く感じられ何やらとても不気味な印象を受けたのを今でも覚えています。

 

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◼3度目の月明かり

そしてまたそこから数時間歩いた気がします。

当時の小学生の体力では限界も近く、そろそろ何処かで休憩を取りたい…そんなことを思っていると。

また再び、月明かりが僕達を照らし始めました。

その時初めて気がついたのですが、辺りには木が少なく、僕達は頂上付近まで登ってきてました。

 

不思議とあの足音達も止んでおり、その時初めて自身がとんでもない自体に巻き込まれていると実感しました。

山頂からの景色は絶景でその時見た夜空は今でも忘れる事が出来ません。下の方には宿泊予定のホテル灯りが小さく光っていました。

 

どうしよ…戻れない…」彩ちゃんの不安そうな表情とは裏腹に僕は不思議と冷静でいれました。

 

昔からある程度のキャパをオーバーしてしまうと逆に落ち着いてしまう、良い意味で諦めがつきやすいタイプだったのでこの時も平静を保つ事がギリギリで出来ていました。

 

◼どう戻るのか

まず注目したのは山頂付近におる送電所です。この電線を辿っていけばホテルまで通じるのではないかと考え、暗闇の中電線を頼りに歩き始めました。

そして次に意識したのが山の中を流れる川の音、山の中腹地点にあった滝を目指し音を聞き漏らさないよう注意していると。登る際に踏んだあの独特の木の根の感触や岩を見つけていきました。

人間、生命の危機を感じたら感覚が研ぎ澄まされるものなのでしょうか。暗闇の中でも足の感覚だけは鮮明に物事を判断していました。

 

◼下山その後

歩き始めてから数時間が経過し、僕達はようやくホテル付近のオバケの格好をしている先生達に発見され、事なきを得ました。

 

後日聞いた話によると

あと一時間発見が遅れていたらヘリが出動していた」そうです。

何よりも2人に怪我がなく良かったのですが、あの日以来僕はあまり物事に動じなくなり、より冷静にトラブルに対処出来るようになりました。

彩ちゃんとは壮絶な吊り橋効果があったおかげかその後別々の中学に行くまで付き合えたと思います。

 

小学生のデートといっても可愛いもので、2人で動物園や映画に行く程度でしたが、あの日の夜の僕達を囲むように歩いていたあの足音の話だけは別れる最後の日までする事はありませんでした。

 

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